僕は、仮面浪人をしてる。
最初の受験では、東京大学を目指し、あと5点足りずに落ちた。
その時、滑り止めで慶応と某私大に受かっており、なんとく慶応のマンモス校具合が苦手と感じた僕は、あえて某私大進学を選んだ。
(慶応をマンモス校呼ばわりしてごめんなさい。当時は変わったやつでした。)
しかし、結果的に色々あり(この時の経緯についてはまた別途)、
上期を終えてから、再度受験勉強を始めることになる。
後期から予備校に通うことにした僕は、夏の間は、基本的に自分のペースで勉強してた。
特に何時間、というのは決めてなかったが駅前のカフェに行ったり、近くの公民館に行ったりしながら。
しかし、たったの一人の受験勉強。
そして、ブランク。
勉強ははかどらず、希望もなく、失恋の痛手もあり(実は、再び受験を志すきっかけの一つが失恋だった)、虚しい時期だった。
ただ、諦めて前の大学に戻ろうという気持ちには不思議とならず。
入っていた部活もやめて、居場所もないと感じていたので。
そして9月に入って、予備校が始まる。
もう毎日平日は予備校に行って、お昼食べたりしながら夕方まで勉強していた。
授業は基本的に高校と同じで、毎日時間割があって、それに沿って生活していた。
僕はまじめだったし、親にお金を出してもらったという後ろめたさもあり、授業には全部出た。一回もサボっていない。はず・・・
そして授業が終わると、すぐに帰った。
みんな割と残っていたけど、僕には予備校に残るのが耐えられなかった。苦痛でしかなかった。
あんまり、予備校って場所が好きでなかったかな。
なんとなく悲壮感も漂っていたし、悲しいくらいの必死さがあって、暗くて。
あとは、あんまり勉強する気のない人たちもいて、彼らはただ友達と話に来ているようだった。
それで、みんなが残って勉強しているのを尻目に、そそくさと帰った。
そしてその帰り道。
予備校はターミナル駅にあったので、駅ナカに大きな本屋があり、毎日そこに寄っていた。
そして、決まって本を1時間くらい立ち読みするのが習慣になっていた。
なんでそうなったのか、きっかけは覚えてないけど、なぜかそうなっていた。
どんな本を読んでいたか?
基本的には、ビジネス書だったり、自己啓発書だったり、人生についての本だったり。
毎日1時間くらい読んでるから、もう何があるかだいたいわかってくる。
新しい本が入ったら、すぐに気づくくらい。
その時間勉強しておけばよかったって話もあるが、結果的にその時間が自分自身の心を保つ支えとなった。
巷に溢れてる自己啓発本とかだったけど、
未来に対しての希望がたくさん書かれていて、読んでいてすごくワクワクした。
受験を終えたら、こういうことにもっと時間を使っていきたい、という未来をたくさん先取りしていた。
そして、未来に大きなことをしている人たちは、今自分が直面しているような困難に立ち向かって行ったんだなってことにも気づけた。
浪人ごときがなんだって思えた。
単純に、「自分の未来は明るい!」って、妙な勇気をくれた。
起業とかを初めて考えたもの、これくらいの時だった。
その一つのきっかけは、こちらの本。
『日本で一番大切にしたい会社』
これはたまたま親父が買って来てくれた本だけど、
こんなに素敵な企業が日本にはたくさんあるんだって知り、自分でもそういう会社を作ってみたい、と単純に思った。
そう考えると、本当に自分の未来にワクワクしはじめて。
今目の前の受験勉強が、大したことないと思えるようになった。
あと、図書館にも通っていた。
決まって、毎週金曜日。
毎回毎回、貸し出し上限まで本を借りて。
毎週決まって来ていたものだから、職員さんも覚えられていた自信がある。笑
そんな感じで、毎日1時間、
本を読むことで、自分の未来を垣間見ていた。
未来にワクワクしていた。
そういう時間が、あの辛い辛い、浪人時代を乗り越える支えとなった。
だから、不思議と、浪人時代が辛いとは思わない。
むしろ、たくさんの本との出会いをくれた、大切な時間だったと思っている。