新築か、中古か。
マンション購入を考えたことがある人なら、誰もが一度は考えるこの問題。
僕自身、最近「家を買いたいのだけど・・」という相談を受けることが増えてます。
その時に驚くのが、彼らの持つ「新築マンション信仰」です。
新築しか見てない人が、あまりに多いことに驚きます。
日本では、世界的に見ても珍しい「新築マンション信仰」があります。
しかし、なぜ中古物件も検討しないのでしょうか?
新築マンションって、本当にそこまで魅力的なのでしょうか?
営業マンに言われたままに、「中古を買うのはあえりない」って思っていませんか?
新築物件だけ見て判断するのは、あまりにリスクが多すぎます。
少しでもマンションの購入を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
新築マンションしか見ないで、購入を決断してはいけない理由
日本人は、新築マンションが大好きです。
しかし、新築マンションしか見ないで購入を決断するのは、あまりにリスクが多すぎます。
実際、業界の裏側を知っている不動産屋は、ほとんど中古物件を買う人が多いです。
その理由について別の記事で書いているので、詳しくはそちらを見てください!
ここでは、この記事に書かなかったことを、いくつか追記します。
毎月の支払いが増えるのは、かなり危険
新築マンションを買うために、少し背伸びをする人は多いです。
毎月の支払いが今より+3万くらいなら、奥さんがパートを少し増やすとか、お小遣いを減らして頑張ろう、と考える人が多いです。
しかし、はっきり言って、それはかなり危険な判断です。
その理由は以下のとおり。
住宅ローンの金利は、今が史上最安です。
これより下がる見込みはないので、現状維持か、上がる可能性しかありません。
管理費・積立金は、購入時が一番安く設定されています。
最初から高いお金を払うことになると、購入意欲が減ってしまうので、わざと低くしています。
その後、修繕積立金は5年に1回くらいのペースで、120%〜130%ずつくらい上がっていく場合が多いです。
この先、給料が大幅に増える見込みもありません。
お子さんがいる場合は、教育費だって、これからいくらかかるかわかりません。
不確定要素が多い中で、どちらかというと支払いは増えていく可能性のほうが高いです。
それにも関わらず、今だけを見て「これなら払える!」と判断を下すと、将来的に自分たちの首をしめることになります。
住宅ローンはなかなか減らない
万が一、支払いが苦しくなって売るとなった場合。
その場合も、「売ればおしまい」ではありません。
多くの人は、「変動金利で、元利金等返済」でローンを組んでます。
これは、
・毎月の支払額はずっと一定(ただし、金利が上がれば上がります)
・当初は、支払いの多くを金利分が占める
というものです。
つまり、最初は支払いの多くを金利分が占めるため、ローンの元本はほとんど減りません。
新築マンションは、広告費などが上乗せされているため、適正価格よりも2〜3割高くなっています。
買ってすぐに売っても、買った時の20%安くしか売れません。
4000万円の物件を買ったとすると、売れる価格は3600万程度になります。
何らかの事情ですぐに売却することなっても、ローンを消せないので売れないのです。
ローンの残高は少しずつ減っていきますが、それと同時に物件価値も減っていきます。
最初は「物件の価格<住宅ローンの残高」からスタートします。
これが「物件の価格>住宅ローンの残高」の状態になるまでには、ある程度時間がかかります。
そうなる前に毎月の支払いができなくなってしまったら、最悪の場合「銀行による差し押さえ」となります。
以上、別の記事と併せて、新築マンションだけ見て買うことのリスクについて書いてみました。
次からは、中古マンションの知られざる魅力について、紹介していきます。
見落とされている中古マンションの魅力
なぜか、「マンション買うなら新築」という風潮が出来上がっています。
営業マンも、徹底的に中古マンションを否定します。
それを鵜呑みにしてはいけません。
僕の友人にも、「買うなら、新築以外は有り得ない!」と言っていた夫婦がいました。
しかし、彼らの検討していた物件は「新築であること」以外、これといった魅力のない物件だったので、ダメ元で中古も見ることを提案。
いくつか中古物件を見た2人は、
●ルーフバルコニー付の4LDK
●価格も、予算より1000万ほど安い
●よりメジャーな分譲会社・施工会社
●立地的にも、理想に近い
そんな物件を購入でき、非常に満足しておりました。
ダメ元でも、中古マンションを一度は見ておくべき理由について書いていきます。
価格が安い!
価格は、大きな魅力です。
もともと、新築マンションは広告費などで2割程度、適正よりも高い価格になっています。
欲しかった新築マンションも、買った誰かがすぐに売ることになったら、いきなり2割も安く買えることだってあるのです。
広い面積の物件がある
すでに家族が多い、もしくは今後増える予定があるならば、中古をぜひ見ておいた方がいいです。
今は建築費がかなり高く、新築マンションデベロッパーも、儲けるのに一苦労です。
そのためどうするか?
「できるだけコンパクトな部屋を作り、多くの戸数販売できるようにする」のです。
単純に考えて、90㎡の部屋を2つ作るよりも、同じ面積で60㎡の部屋3つ作った方が儲かります。
そのため、今はどこの新築を見てもコンパクト間取りが主流です。
一見お客さんのことを考えてのように見えるコンパクト間取りですが、実は売り手側の事情も大きく影響しているのです。
中には素敵な間取りもたくさんありますが、さすがに60㎡の3LDKはちょっと無理ある気がします・・
広い面積がいいのなら、妥協せずに中古を見たほうがいいでしょう。
立地を妥協しなくてもいい
ここ数年は、土地代も高騰しています。
当然、「良い立地=高い」となります。
新築を買おうとすると、どうしても駅から少し遠かったり、マイナーな駅になったりしてしまいます。
新築では買えないような良い立地も、中古なら手が届くこともあります。
新築物件よりも、質の高い物件もある
マンションは、長く住む前提で買います。
その場合、
●あまりよくない分譲会社・施工会社の新築
●一流の分譲会社・施工会社の築10年の中古
で比較したときに、長い目で見ると後者の方が長く持つケースが多いです。
マンションが新築なのは、今だけです。
あなたが買った瞬間から、「中古」になります。
そうすると、
●どれだけ丁寧に管理がされているか?
●当初、どれだけしっかりと物件を作っているか?
が、将来的には大きな差となってきます。
物件の将来性について、きちんと判断する必要があります。
住む人の雰囲気がわかる
中古の物件は、すでにそこに住んでいる人がいます。
出来上がったコミュニティに入りにくいから、新築がいい、という意見はわかります。
しかし、新築で入ったコミュニティが、必ずしも自分に合っているとは限りません。
中古の物件であれば、実際に生活している人たちの姿が見えます。
●ゴミ出しを丁寧に行なっているか?
●挨拶はしてくれるのか?
●管理状況はちゃんとしているのか?
などなど。
マンションを買うことは、夢を買うことではありません。
日常を買うことなのです。
モデルルームだけでは見えない、その家を買ってからの日常をしっかりと考えることがとても大事です。
ゼッタイに焦って買ってはいけない!
まとめに入ります。
新築マンションを買う友人を見ていると、どうも感情に流されている人が多い気がします。
●家賃がもったいないから・・
●今買わないと、他の人が買ってしまうから・・
●奥さんが気に入っているから・・・
●金利が安いうちに・・・
話を聞いていると、本質からかなりかけ離れた議論が多いです。
おそらく、営業マンの煽りの影響でしょう。
家を買うことは、一生に一度の買い物です。
慎重に、冷静なジャッジをするべきです。
そもそも、そんなに良い物件なら、あなたを煽らなくても売れているはずです。
あなたを煽る理由は、
●あなたが買えば、営業マンの成績になるから
●苦しんでいる物件だから、せっかく良い感じになったお客さんを逃したくないから
のどちらかです。
自分たちの人生をかけた買い物なのに、営業マンに判断をコントロールされてしまっていませんか?
冷静な目で、判断してみてください。
今後の相場がどうなるかわからない今、「最悪売ればいい」という判断も危険です。
相場が崩れた時には、売りたくても売れません。
もし、購入に少しでも違和感があるのなら、中古マンションを見てからでも遅くはありません。
もっと言うと、焦って今買う必要もないのです。
「そうは言っても、家賃がもったいないから、それなら早く買った方がいい・・・」
と思っている人は、こちらの記事を読んでみてください。
「家を買う」というのは、一生に一回の大きな買い物です。
35年間という長い間、住宅ローンに縛られることになります。
簡単に引っ越しもできません。
それでも、住み続けたいと思える家でしょうか?立地でしょうか?
人生の大きな決断を、感情に流されたり、営業マンにコントロールされないために、少しでもヒントになれば嬉しいです。
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