不動産屋で、新築マンションを買う人はほとんどいません。
実際にモデルルームで働いていた経験がありますが、賃貸に住んでいたり、中古物件を買ってリノベーションしたりという営業マンがほとんどでした。
不動産のプロが買わないことには、何かしらの理由があります。
この記事は、実際に現場で働いていた僕の経験をもとに、
●これから新築マンションを買おうと検討している人
●新築にするか、中古にするか迷っている人
●家を買うときに、誰に相談すればいいのかわからない人
に向けて書きました。
ぜひ、参考にしてみてください!
不動産屋が新築マンションを買わないワケ
なぜ、不動産屋は新築マンションを買わないのでしょうか。
その理由について、簡単に解説します。
物件価格に広告費などの余計な価格が乗っかっている
新築マンションというと、派手な広告、かっこいいキャッチコピー、豪華なモデルルーム、かっこいい営業マン、を連想します。
それらがお客様の購買意欲をそそるわけです。
しかし、冷静に考えてみてください。
その広告代、キャッチコピー代、モデルルームの建築費および維持費、人件費などは、誰が負担しているのでしょうか。
当然、マンションを買うお客様です。
お客様が買うマンション価格に、上乗せされているのです。
一般的に、物件価格のおおよそ5〜10%前後になると言われてます。
5000万の物件であれば、そのうち250万〜500万は広告費なのです。
良い立地で買えるものはほとんどない
マンションを作るなら、当然立地の良いところから優先的に建てます。
結果的に今残っている土地は、それ以外の余った土地になります。
本当に良い立地の新築マンションを買えるチャンスは、ほとんどありません。
住戸による価格差が不当に大きい
新築マンションとして販売する際は、全住戸をほぼ同時期に販売します。
したがって、販売戦略上、住戸位置による価格差を明確につける必要があります。
1階高くなるごとに、50万円高くなることは普通にあります。
すると、1階と10階の住戸では、単純計算450万ほどの価格差になります。
しかし、中古マンションとして単体で世に出る場合は、1階と10階の価格差はほとんどないです。
不動産会社側の販売戦略上、不当に高い価格設定になっている場合が多いです。
不確定要素が大きい青田売り
新築マンションの販売は、長期スパンになります。
土地を買って、建設して、販売して、トータル2年くらいになります。
つまり、単純にリスクがあります。
長期化すればするほど、保有していることによる固定費が膨らみます。
市況変化のリスクや、無駄な固定費の支出を避けるため、不動産会社としてはできるだけ早く売ってしまいたいのです。
そのための作戦が「青田売り」です。
完成前からモデルルームで営業をし、完成するタイミングでは完売、が狙いです。
しかし、青田売りは不確定要素が多すぎます。
一生に一回の買い物にも関わらず、日当たり、騒音、眺望など確認せずに買ってしまうのです。
世界的に見ても、青田売りをしているのは日本だけだそうです。
新築マンションを買うとき、騙されないために
では、新築マンションの購入を検討している人は、どんなことに気をつけたらいいのでしょうか。
モデルルームに騙されない
モデルルームは、夢の世界です。
デベロッパーが何千万とお金をかけて作り込み、お客様に「買いたい!」と思わせるためにあの手この手で仕掛けてきます。
夢を見させてくれます。
しかし、家を買うことはすなわち現実を買うことです。
決して、一生夢の中で生きられる訳ではありません。
豪華絢爛なモデルルームに、騙されないようにしましょう。
営業マンを安易に信用しない
営業マンは、お客様に家を売りたいと考えてます。
それが、彼らの給与に直結するのですから。
中には、本当に真摯に向き合ってくれる人もいます。
しかし、大前提、彼らはあなたに家を売りたい、ということを忘れてはいけません。
どんなロジックも、結果的にあなたが「買いたい!」と思うように導くためのものだと考えた方がいいです。
モデルルームのファイナンシャルプランナーも信用してはいけない
モデルルームで、よくファイナンシャルプランナーに相談をしている人を見かけます。
しかし、彼らは営業マンとつながっている場合が多いです。
試算の数字くらい、いくらでも操ることはできます。
「私にも買える!」と思ってもらうために、見せかけの数字を作るくらい朝飯前です。
営業マンに紹介してもらうファイナンシャルプランナーは、安易に信用してはいけません。
モデルルームの賑わいや、成約の花にも騙されない
モデルルームが賑わっていたり、価格表にたくさん「成約御礼!」の花がついていると、ついつい急いで決断しなくては、という気持ちになります。
しかし、あれも不動産業者側の戦略であることが多いです。
わざとアルバイトさんを雇って、お客様のフリをしてきてもらったり。
実態よりも多く花をつけて、売れているように見せかけたり。
損をしないためには、自分で考えるしかない
結局、多くの人は自分で決断できないので、意思決定を誰かにしてもらおうとします。
モデルルームで働いていて、それを痛感しました。
「〇〇さんは、どう思いますか?」
「これは、良い買い物なのでしょうか?」
「今買うのが正解なんでしょうか?」
こんな質問をする方が本当にたくさんいました。
思考停止し、誰かに判断を委ねた方が楽に決まってます。
しかし、それでは不動産会社の思うツボです。
不動産の価格くらいであれば、今ならネットで簡単に調べることができます。
ぜひ、自分で調べて、自分で考えてください。
一生に一回のお買い物。数千万の家を、35年にもわたる長期ローンで買う。
それくらいビッグイベントなのに、「そんなことも勉強していないの?」という人が多くてびっくりしました。
不動産は、一見難しく見えます。ついつい思考を放棄しがちです。
だからこそ、ここまで情報格差のある業界が出来上がってしまったのです。
これから家を買おうと思っている方は、ご自身で考える力をつけてください。
そして、もし誰かに相談をするなら、利益関係のない客観的な立場の人に相談してください。
この記事が、少しでもお役に立てば嬉しいです。
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