どうすれば、人は最高のパフォーマンスを発揮できるのでしょうか?
ビジネスの世界では、成果に見合った報酬だと考えられています。
しかし、それは間違いで、多くの場合逆効果であることが科学的に証明されています。
TEDでの作家:ダニエル・ピンクさんのスピーチで、科学が解明した新事実について語られます。
この記事は、
●仕事を頑張りたいけど、なかなか力を発揮できない・・・
●チームや部下は、どうすればやる気を出してくれるだろうか?
という人に向けて書きました。
また、
●好きなことをやりたいけど、本当にそれでいいのだろうか?
と足踏みしている人にも、大きなヒントになります。
ぜひ、参考にしてみてください!
報酬は仕事の生産性をあげるのか?ローソク問題を例にして
ローソク問題というのがあります。
www.youtube.comより引用
問題は、以下の通り。
●ローソクを壁に取り付けてください。
●ただし、ロウがテーブルに垂れてはいけません。
ローソクを画鋲で壁につけると、ロウがテーブルに垂れてしまう。
どうすればいいのでしょうか?
答えは、以下のようになります。
www.youtube.comより引用
画鋲の箱を使うという、発想の転換が必要な問題です。
さて、この実験を2チームに対して行います。
●1のチームには、「問題を解くスピードを計測する実験です」と伝えます。
●2のチームには、「早く解いた人には、報酬を与えます」と伝えます。
どちらのチームが早く正解にたどり着いたでしょうか。
当然、2だと思いました。
しかし、正解は1です。
2のチームは、3分半も長く時間がかかりました。
クリエイティブな問題を解決する場面において、報酬は邪魔になるのです。
今度は、下記の図にして同様の実験をします。
www.youtube.comより引用
すると、今度は圧倒的に2のチーム(早く正解した人には報酬を与える)が勝ちました。
課題が単純明確である場合、報酬は能力を後押しします。
今度は、3チームに分けて、それぞれ報酬の額を変えて実験を行います。
すると、報酬の額が高ければ高いほど、正解にたどりつく時間が長くなることがわかりました。
上記の実験からわかること。
●報酬は、クリエイティブな問題を解決する際には邪魔になる
●逆に、ゴールが単純明快な場合、報酬は能力を大いに促進する
21世紀型のモチベーションとは?
さて、世の中に目を向けて見ます。
今我々が直面している問題は、最初のローソク問題のような課題の方が多いです。
しかし、ビジネスの現場では、当たり前のように成果報酬が導入されています。
科学で解明されていることと、ビジネスの現場で実践されていることの間には、大きな隔たりがあります。
アメとムチ、報酬のような、20世紀型の動機付け。
それに対して、21世紀型の動機付けとは何でしょうか?
それは、
●好きだからやる
●楽しいからやる
という、内的モチベーションです。
ローソクの実験にとどまらず、実践している企業はたくさんあります。
具体例その1:Atlassianの24時間やりたいことをやる日
オーストラリアのソフトウェア会社です。
彼らは年に何回か、
「24時間、今の業務と関係のないことをする」という日があるそうです。
そのおかげで、様々な想定外のソフトウェア修復が可能になりました。
具体例その2:Googleの20%ルール
有名な、Googleの20%ルール。
それは、
「業務時間の20%は、自分がやりたいこと、好きなことをやる」というものです。
驚くべきことに、今の新商品の50%は、なんとこの20%の時間から生まれているそうです。
具体例その3:出社も会議も一切ない働き方 ROWE
アメリカでは、すでにこの新しいワークスタイルが確立されています。
「 ROWE(Results-Only Work Envionment)=結果志向の職場環境」というもの。
スケジュールなし、出社の義務なし、会議なし。
ただ、成果を出せばいいのです。
実践している企業では、生産性・職場満足度は向上し、離職率は大きく減少しています。
具体例その4:Wikipediaの成功
ビジネスの世界だけではありません。
1990年代半ば、マイクロソフト社は新しい百科事典を作ろうとしました。
プロに報酬を払い、マイクロソフト監修のもとでプロジェクトは進みました。
その数年後、Wikipediaという、全く新しい形態の百科事典が登場します。
報酬なし、期限なし、ただやりたい人が勝手にやるだけ。
結果的に、どちらが成功したか?
Wikipediaの今の成長を見れば、結果は言わずもがなですね。
具体例その5:自主性で日本一になった高校サッカーチーム
講演の内容にはありませんでしたが、スポーツの現場でも実践されています。
無名の進学校だった広島観音高校のサッカー部は、独自の指導方法で日本一になります。

子どもが自ら考えて行動する力を引き出す 魔法のサッカーコーチング ボトムアップ理論で自立心を養う
- 作者: 畑喜美夫
- 出版社/メーカー: カンゼン
- 発売日: 2013/09/26
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログを見る
その指導方法とは?
練習メニューから、試合に出るメンバー、ミーティングまで、全て子供たちに任せた自主自立型のスタイルです。
監督からのトップダウンが当たり前のスポーツ界にて、自主性を重んじたボトムアップ型の指導が通用することが証明されています。
結局、やりたいことをやったほうがうまくいく
これらの事実から、何を学べるでしょうか?
●報酬は、答えが単純な狭い分野でしか力を発揮しない
●報酬は、多くの場合クリエイティブさを奪う
●高いパフォーマンスを発揮するには、「やりたい!」という内なる動機が一番大事
力を発揮できないのは、それをやりたくないから。
チームの人のやる気が出ないのは、彼らがやりたくないから。
アメとムチでどうにかしようというのは、時代遅れなのです。
今やりたいこと、好きなことがある人は、思い切ってそれをやりましょう。
好きなことであるからこそ、高いパフォーマンスを発揮できます。
それが結果的に一番うまくいくことが、科学だけじゃなく、実社会でも証明されているのです。
関連記事など
「無意味な機械」を作り続けるという、とても無意味なことが本業に。
やりたいことをやり続けた、若い女性発明家の話です⬇️
今やっていることは、必ず未来どこかで繋がっていくという話です⬇️
スピーチのダニエル・ピンクさんのモチベーションの本です⬇️

モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫)
- 作者: ダニエル・ピンク,大前研一
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (2件) を見る