だーまんのブログ

平成生まれ・東大卒の元不動産屋→現・外資コンサル。人生の先生は本と映画。面白かった本や映画、仕事について、など日々思ったことを好き勝手に書いていきます。

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【ネタバレ解説】『秘密』東野圭吾/人生で一番泣いた小説について

週に1冊は本を読むだーまんです。

 

物心ついた頃から、本が大好きでした。

その要因はおそらく家庭環境にあって、3LDKのうち1部屋が本で埋め尽くされていた家で育ちました。

 そんな本好きな両親の元で育ったため、強要されるまでもなく、気づいたら本に夢中になってました。

 

古今東西の様々な本を読み漁ってきた僕が、

「今まで読んできた中で、一番泣ける小説は何か?」と聞かれたら、

真っ先に、東野圭吾氏の『秘密』をあげます。

秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

 

 

以下、簡単なあらすじをご紹介します。

なお、ネタバレ含みますので、ご注意ください!

 

物語の主人公杉田平介は、妻・直子、娘・藻奈美と3人平和に暮らしていました。

そんなどこにでもある平凡な一家を、ある日突然悲劇が襲います。

妻・直子と、娘・藻奈美が交通事故に遭ってしまうのです。

その事故で妻・直子は亡くなってしまいますが、娘の藻奈美は奇跡的に一命を取りとめました。

 

娘が生きていたことは不幸中の幸いでしたが、実は話はそれだけでは終わりませんでした。

なんと、生き残った藻奈美は姿形こそ娘のままですが、人格は、なぜか亡くなったはずの直子になっていたのです。

そう、事故によって、直子と藻奈美の魂が入れ替わってしまったのでした。 

 

藻奈美の姿となってしまった直子ですが、いつまでも家の中で隠れて生活していくわけにはいきません。

そこで彼女は、藻奈美として、藻奈美の日常を生きていくことを決断します。

藻奈美の姿形をした直子は、藻奈美として成長をしていきます。

そして、その成長の段階で、不思議な現象が起こり始めます。

 

ある時から、時折、藻奈美の人格が現れるようになるのです。

藻奈美の人格になった思ったら、また直子に戻る。

そういうことが起こり始めます。

最初は、藻奈美の人格が現れるのはほんの短い時間だけでしたが、

少しずつ、少しずつ、藻奈美の人格が現れる時間が長くなっていきます。

 

藻奈美も、女性です。

当然、彼女にも恋をする権利はあります。

藻奈美は、恋をします。

そして、直子もその恋を応援します。

それを見て、複雑な気持ちになる平介。

 

しかし、愛を育んだ藻奈美は、いよいよ結婚をすることとなりました。

 

藻奈美が結婚を決めたその頃には、すでに直子でなく、藻奈美の人格でいる時間がかなり長くなってきていました。

直子本人も、そろそろ自分の人格が消える時がきたのではないか、ということが感覚的に分かってきます。

 

直子の人格が現れている時間は、日に日に短くなっていきます。

そして、おそらく今日が最後になるであろうと感じた直子と平介は、2人の思い出の場所へ行くことにします。

その場所で、二人は思い出の歌、ユーミンの『翳りゆく部屋』を聞きます。

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思い出のベンチに座り、『翳りゆく部屋』を聞きながら、静かに眠りにはいっていく直子。

そして、彼女の魂は消えていったのでした。

2回目の死を、本当の死を、彼女は迎えたのでした。

 

 

その後、藻奈美の結婚式がラストシーンとなります。

おめでたい結婚式の直前、あることがきっかけで、平介の中で違和感が生じます。

直子しか知り得ないことを、なぜか藻奈美が知っていたのです。

そのある事実を、直子がわざわざ藻奈美に伝達したとも考えられない・・・

そこまで考えた彼は、ようやく気がつきます。

 

時折現れ、徐々に藻奈美となっていった人格も、実はずっと直子が演じていたものだったのです。

藻奈美と直子の人格の入れ替わりは、全て直子の自作自演だったのです。

なぜか直子は、そんなことをしていたのか?

 

それは、藻奈美の人格が直子のままだと、平介が前に進めないから。

平介に新しい人生を歩んでもらうために、直子は、人格までも藻奈美になりきる決意をしたのでした。

 

しかし、いきなり両者が入れ替わるのでは、色々と無理が生じてしまう。

そこで直子が考えたのが、

「藻奈美の人格と少しずつ入れ替わっていき、そのまま自然と藻奈美の人格が現れている時間を長くしていき、そっと直子の人格を消していく」

という方法でした。

 

これが、彼女の「秘密」だったのです。

物語の最後で、平介はその事実を知ります。 

 

そして、場面は結婚式場に戻ってきます。

結婚式に向けて、着替えいる新郎の部屋に入っていった平介は、新郎にこう伝えます。

「自分の娘を嫁にやるので、2回、殴らせてくれ」と。

なんで2回?

戸惑う新郎をおいて、平介は2回殴ります。

1発は、娘・藻奈美の分。

そしてもう1発は、妻・直子の分。

 

 

平介のための、直子の「秘密」

そして、直子の「秘密」を知りながらも、あえて知らないフリをして生きてこうとする平介の「秘密」

 

相手を想うが故の、2つの「秘密」

これ以上ない愛情です。

二人のその思いに、最後は涙が止まりまんせでした。

 

相手を想うが故に、相手に幸せになって欲しいと願うが故に、

「秘密」を、自分の中だけに抱え続ける決意をした2人。

 

確か、美輪明宏さんだったと思いますが、ある時こんなことを仰っていたようです。

大人になれば、誰しも人に言えない秘密の一つや二つ、あるものです。

それをそっと胸に抱えながら、みんな生きていくのです。

 

世の中にはいろんな「秘密」があるが、こんなに素敵な「秘密」はなかなかありません。

涙もろい僕は、今でも最後の数ページを読むだけで、涙が出てきます。

この文章を書いている今も、鼻をすすりながら書いてます。

大切な人を大切にしようと思える、素敵な物語です。 

 

秘密 (文春文庫)

秘密 (文春文庫)

 

 

こちらは、広末涼子が出演し映画化もされてます。 

映画については、アマゾンプライム会員になればプライムビデオで無料で視聴できます。

 

 あるいは、U-NEXTからでも視聴可能です。