だまん氏のブログ

元不動産屋→現・外資コンサル。人生の先生は本と映画。面白かった本や映画、仕事について、など日々思ったことを好き勝手に書いていきます。

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【ネタバレ】『マスカレード・イブ』あの名コンビが出会う前夜の物語

『マスカレード・ホテル』の2人が、出会う前の物語・・・

シリーズ2作目『マスカレード・イブ』を読みました! 

 

『マスカレード・ホテル』を読んだ人には、絶対にオススメの1冊です。

(もしまだ読んでいないなら・・・先に『マスカレード・ホテル』読むことを強く強くオススメします!)

 

東野圭吾さんの、新しいシリーズになるであろう『マスカレード』シリーズの2作目。

前作で大活躍したちぐはぐコンビが、出会う前の物語。

 

ものすごく好きな映画やドラマを観た後、もしくは小説を読んだ後に、登場人物たちの過去にや成り立ちに、思いを馳せることってありませんか?

 

そんな僕らの“知りたい欲”を満たしてくれる本作。

『マスカレード・ホテル』の2人が好きになった人には、ぜひオススメの1冊です! 

 

『マスカレード・イブ』とは?前作『マスカレード・ホテル』との関係は?

『マスカレード・イブ』は、東野圭吾さんの新しい『マスカレード』シリーズ第2作。

前作『マスカレード・ホテル』で活躍した刑事・新田と、ホテルマン・尚美、2人が出会う前のスピンオフ作品という位置付けです。

 

前作とは違い、4つの短編集からなっています。

●新人ホテルマン尚美の物語『それぞれの仮面』

●新人刑事新田の物語『ルーキー登場』

●少し成長した尚美が、人気作家をオタクから守る物語『仮面と覆面』

●2人が出会う前に、実は2人で解決していた事件についての物語 『マスカレード・イブ』

 

短いページ数の中に、ギュッと濃い物語が詰まった短編集です。

 

新田と尚美・微笑ましい新人時代の物語

『マスカレード・ホテル』では、それぞれの道で自分を確立してる新田と尚美。

だからこそ、自分たちの仕事にプライドがあったため、最初は反発しあっていました。

 

しかし、この短編集では、2人が新人だった頃の物語があります。

 

尚美は、本当に素直で、謙虚な新人でした。

瞬時の対応能力や人を見る目が抜群で、結果的にそれが事件解決の糸口を見つけるきかっかけになるのですが、まだそんな能力がない時代の彼女の物語です。

 

成長したホテルマンの尚美を知っているからこそ、まだ不器用な彼女に対して、読みながら微笑ましい気持ちになります。

 

対して、新田は、案の定、最初からあのままの新田でした。笑

ただ、周りはまだ彼に対して「アメリカ帰りのエリート風情が」という見方をしており、実力が認められていません(新人なので、当然ですが・・)

 

その状況でも、そういった反発に耳を貸さず、事件解決に向けて壁を突破していく。 

初々しさのカケラもない、変わらない彼の姿勢が、逆に気持ちよかったです。

 

『マスカレード・ホテル』前夜の物語

この短編集の最後の物語『マスカレード・イブ』

短編集のタイトルにもなっているこの物語は、まさに『マスカレード・ホテル』前夜の物語。

 

新田たちが追っている事件の容疑者が、事件当日、ホテル・コルテシア大阪に泊まっていたことが明らかになります。

そこには、オープニングスタッフとして、尚美が手伝いに行っていました。

 

なかなか見つからない事件の突破口は、尚美の小さな気づきから見つかります。

しかし、ホテル・コルテシア大阪へ聞き込みに行き、尚美から話を聞いたのは、新田とは別の刑事。

結局、2人が対面することはありませんでした。

 

事件が解決した後、新田はこう言います。

「一度、顔を見ておきたかったな。その聡明な女性フロントクラークとやらの」

それに対して、聞き込みに行った刑事が言います。

「美人ですよ。いつか会えるといいですね。」

そして、物語はこう締めくくられます。

新田は口元を曲げ、遠くに目を向けた。東京の空が赤く染まり始めていた。事件が解決したばかりだというのに、何かが始まる前触れのような気がした。

 

『マスカレード・ホテル』での2人の出会いを知っているからこそ、ここで思わずニヤッとしてしまう締めくくりでした。

(この場面も、『マスカレード・ホテル』を読んでいないといまいち感動が伝わらないので、ぜひ先に前作を読むことをオススメします!!)

  

『マスカレード・イブ』は、2人のストーリーを知れる物語

 

たとえば、毎週楽しみにしていた大好きなドラマが終わってしまった後。

大好きな映画を見終わった後。

好きだった小説を読み終えた後。

 

好きであればあるほど、「〇〇(←ここに大好きなものが入ります)ロス」になりませんか?

僕でいうと、『最後から二番目の恋』や『花より男子』が終わったあとは、しばらくロスを引きずっていました。

 

『マスカレード・ホテル』での新田と尚美があまりに人間的に面白く、コンビとしての2人がものすごく魅力的でした。

ガリレオとは、また違った良さです。

物語自体にもかなりのめり込んでしまったので、読み終わった後「マスカレード」ロスになりました。

 

この作品は、その心の隙間を埋めてくれます。

 

人間って、きっと物事の背景とか、成り立ちとか、そこにあるストーリーに共感する生き物です。

 

W杯での勝利に感動するのはもちろんです。

しかし、彼らがそこに至るまでの隠れた努力や苦労には、それ以上に共感します。

 

『マスカレード・ホテル』を読んで、「マスカレード」ロスになっている人へ。

『マスカレード・イブ』が、きっとあなたの心の穴を埋めてくれます。

 

以上、1日に1冊は本を読むだーまん(@daaman-daaman)でした。 

 

関連記事

 以下の本も、東野圭吾さん好きなら絶対読むべき物語です!

 

本シリーズの1作目です!

【書評】『マスカレード・ホテル』

本作品の1作目。まさしく、新田と尚美がタッグを組んで事件解決へと導く物語。

最初は全く噛み合わない2人が、容疑者もターゲットも見えない事件解決へ挑みます。

未読の方は、ぜひこちらから先にお読みください! 

 

東野圭吾さんのガリレオシリーズについてはこちら!

 

【書評】『真夏の方程式』

きれいな海の見える町で起こる悲しい事件。

今回のガリレオの相棒は、小さい子供?!

 

【書評】『禁断の魔術』

ガリレオの教え子が容疑者に。

教え子にかなり思い入れがあったガリレオは、何を思い、どう行動するのか?

ガリレオの違った一面が見れる作品です。 


 

推理小説以外でも、東野圭吾さんの才能はいかんなく発揮されています!

 

【書評】『秘密』

人生で一番泣いた小説です。

交通事故で妻を無くしたはずが、なぜか娘に妻の人格が乗り移っていました・・ 

最後の数ページを読み返すだけで、すぐに号泣できる自信があります。