だーまんのブログ

平成生まれ・東大卒の不動産屋。人生の先生は本と映画。面白かった本や映画、ライフハック術、不動産のこと、受験についてなど、日々思ったことを好き勝手に書いていきます。

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【批評・解説】『search/サーチ』失踪した娘を探す父が、ネット上で見た彼女の本当の姿とは・・・

上映中の映画『search/サーチ(Searching)』を観てきました!

 


映画『search/サーチ』予告(10月26日公開)

 

失踪した娘を探すため、彼女のSNSを通して手がかりを探す父親でしたが、

ネットの中にいたのは、父親が全く知らない彼女でした・・・

 

映画全編がPCの画面上で展開するという斬新な手法と、予想もつかない展開と結末。

驚きの連続の100分でした!

 

それでは、映画『search/サーチ(Searching)』をご紹介します!

 

簡単なあらすじ

映画は、全編通してPCの画面上で展開していきます。

 

主人公デイヴィッド・キム(ジョン・チョー)は、数年前に妻を亡くし、今は娘のマーゴット(ミシェル・ラー)と2人暮らし。

高校生1年生の娘とは、奥さんの死後、なんとなくぎこちない。

懸命に会話をしようとするものの、奥さんの話題を意識的に避けるため、

どうしてもちぐはぐしてしまう。

 

そんなある木曜日の夜、娘は学校の同級生と勉強会に出かけます。

なかなか帰ってこない娘を置いて、デイヴィットは先に寝てしまいます。

その日の夜中、デヴィッドが寝ている間に、娘から3度の着信がありました。

 

その日を最後に、娘は姿を消してしまいます。

心配したデヴィッドは、当然警察に助けを求めます。

事件の担当となったヴィック刑事の指示で、彼女の友人関係をあたってほしいと言われたデヴィッド。

しかし、彼女の友人と言われても、いまいちピンときません・・

その時初めて、彼はマーゴットの友人関係を全く知らないことに気づきます。

 

情報を集めるため、彼はマーゴットのアカウントでログインし、彼女のSNSを通して、友人たちにあたります。

しかし、そこで見えてきたのは、父親である自分が想像もしなかった娘の姿でした・・・・・

 

映画の見所!(ネタバレなし)

ここから、映画の見所を解説していきます!

基本的にはネタバレはしませんが、多少内容に触れますので、未見の方はご了承ください!

全てがPC画面上で完結するという斬新な手法

映画は、最初から最後まで、PCの画面上で完結します。

「そんな方法で、どうやって映画として成り立つの?!」と思いましたが、十分成り立っていました。

 

特に興味深かったのが、登場人物たちの表情や感情を表す方法です。

 

シンプルな方法として、

【Facetime(カメラで会話する方法)の画面や動画を、PC画面上で直接写す】

というのは、誰でも思いつくと思います。

 

しかし、それだけではありません。

 

【画面の上を動くマウス】

サーっと動いていたいのに、突然止まったり。

イライラしている時に、マウスが忙しなく動いたり。 

マウスが指し示す箇所や、マウスの微妙な動きによって、PCを操っている人の感情がわかります。

 

【入力される言葉】

メッセージを送る際に、PCを操っている人物が言葉を入力していきます。

1回書いて、送信ボタンを押そうとして、思いとどまって消して、また書く、ということが行われます。

本音は、消えていった最初に書いた言葉の中にあったりします。

それによって、登場人物たちの心の声が伝わってきます。

 

人物を画面上に写さなくても、その人の感情を伝えることができるのか!と、驚きでした。

言葉や表情が見えない分、心の声がより際立って伝わってきました。 

秀逸な脚本に、もう一度観たくなる構成!

この映画がすごいのは、その映像手法だけではありません。

脚本の秀逸さにも、舌を巻きます。

 

この映画を結末を予想できる人は、ほぼいないでしょう。

 

ただ、こういう大どんでん返しの結末がある物語って、

ちょっと強引な伏線を持ってきて、突拍子もない結末を唐突に持ってきたりすることが多い気がします。

「いや、それはちょっと無理あるでしょ・・・・・」

というのが多かったりします。

 

実際、この映画においても、途中途中で「それは強引では?」と思う点も多々あったのですが、

最後の最後には、「あーなるほど!!」と、全てに納得がいきました。

  

鑑賞後、映画のシーンを回想している中で、

「そういえば、あそこのあの場面は、そういう意味があったのか!!!」

というのが、次から次へと出てきました。笑

 

小さいディテールにも凝っていて、

「本当によく練られた作品だなー!」と感嘆です。

鋭く描かれるSNSの闇

主人公デイヴィッドは、娘の手がかりを見つけるために、

彼女のアカウントの中を探っていきます。

 

電話帳リスト、フェイスブック、ツイッター、その他手がかりが見つかりそうなものは全て見ていきます。

 

ネタバレになるので詳しくは書きませんが、

そこで見えてくる娘の姿は、父親の自分自身が知る(少なくとも知っていると思っている)彼女とは、全く別のものでした。

 

SNS上のマーゴットの友達と思わしき友人たちに連絡を取るのですが、

誰もが、彼女とはある程度の距離感のある人ばかり。

彼女には、本当の友人はいたのでしょうか?

 

マーゴットが、失踪前夜に参加していた勉強会。

そこにいた友人に聞いても、

「マーゴットのことはそこまでよく知らない」と言われてしまいます。

 

「じゃーなんで勉強会に誘ったんだ?!」とデヴィッドが怒って聞くと、

「だって、彼女頭いいから・・・」とあっさり。

 

しかし、その友人は、いざマーゴットがなくなると、

「マーゴットがいなくなって、本当に寂しい。

親友だったから、本当に心配。1日も早く見つかることを祈っている。」

と、泣きながら訴える動画を投稿し、

自分のサイトのアクセス数を稼いでいます。

 

電話帳、SNS上には、たくさんの友人(と思しき人)の名前が並んています。

しかし、そのどこにも、マーゴットの本当の友人は出てきません。

いくらネット上を探しても、彼女の本当の姿は見えてきません。

 

所詮、ネットの中には、”見かけだけのたくさんの繋がり”と、

”見せかけの自分”しかないのです。

 

実体があるようで、空虚でしかない。

「怖いなー」と思いながらも、他人事では決してありません。

 

SNSの影を、鋭く描いている点が印象的な作品でした。

  

最後に一言! 

映画の主人公は、アジア系俳優のジョン・チョーです。

 

ハリウッドでは、最近まで「ホワイトラッシュ(White Rush)」という言葉がありました。

「ホワイトラッシュ=シミを隠すために、白くする」という意味。

映画の登場人物たちが、白人(WASP)ばかりであることの比喩です。

 

アジア人の登場人物も、なぜか「ホワイトラッシュ」されて、白人がそのまま演じていました。

そうしないと、ヒットしなかった現実もあったのでしょう。

 

そのため、白人でない俳優たちは、なかなか陽の目を見ることがなかったのです。

 

主人公がアジア系俳優という点で、手法や表現方法を超えたところでも、

この作品は斬新だったのです。

 

新しい体験ができる作品、『search/サーチ(Searching)』をぜひ観てみてください!

 

併せて読みたい!

大どんでん返し系の映画を紹介した記事です。 

『パーフェクト・ルーム』 

男5人が、愛人との密会用にマンションの1室を共有します。

ある日、そこに行ってみると、1人の女性の死体が・・

この部屋には、5人しか入れないはず。

果たして女性は誰なのか?殺したのは誰なのか?

『女神の見えざる手』

ロビイストとして、連戦連勝ミス・スローン。

敵対するロビイストたちと戦う彼女には、一体どのような秘策が?

『隣人は静かに笑う』

「隣人が、何か怪しい・・」

ある日、自分たちの元に間違って届けられた隣人の荷物。

最初は些細な疑惑から、徐々にその疑いは大きくなっていき・・・

『セブン』

キリスト教における「七つの大罪」になぞらえて、次々と行われていく連続殺人事件。

事件の解明に当たるブラット・ピットとモーガン・フリーマン演じる2人の刑事。

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