だーまんのブログ

平成生まれ・東大卒の不動産屋。人生の先生は本と映画。面白かった本や映画、ライフハック術、不動産のこと、受験についてなど、日々思ったことを好き勝手に書いていきます。

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【レビュー】『雨に唄えば』ミュージカル映画の金字塔!古き良きアメリカを感じられる名作

午前十時の映画祭で、ミュージカル映画の金字塔『雨に唄えば』を観てきました!

 


雨に唄えば Singin' in the Rain [1952]

 

主演ジーン・ケリーが大雨の中で踊る名シーンを、スクリーンで観れた時の感動はひとしお。

ミュージカル映画は、やはり映画館で観るに限りますね。

 

実は、「雨に唄えば」という歌を初めて知ったのは、キューブリックの名作『時計仕掛けのオレンジ』の中。

 

その時の強烈な印象ばっかり残っており、なかなか映画自体を観る機会がなかったのですが、今回ついに観ることができました!

 

それでは、アメリカ映画協会(AFI)が選んだミュージカル映画の第1位、アメリカ映画ベスト100中10位に輝く名作『雨に唄えば』を、ご紹介します。

 

1分でわかる『雨に唄えば』のあらすじ(ネタバレなし)

ドン(ジーン・ケリー)とリナ(ジーン・ヘイゲン)は、映画界の大スター。

リナはドンの恋人ぶってますが、ドンの方はそんな気さらさらありません。

 

そんなある日、ドンはキャシー(デビー・レイノルズ)という女優の卵と出会います。

ドンは彼女から、「スクリーンの前でかっこつけているだけで、演技でも何でもない!」と言われてしまいます。

(当時はサイレント映画全盛なので、俳優は話さない)

その言葉に最初は怒ったドンだが、彼女の言葉に核心をつかれたため、彼女の存在が気になるように。

 

ドンは、どこかにいってしまったキャシーを見つけられずにいましたが、2人は撮影所で思いがけない再会を果たします。

 

また、時を同じくして映画界にトーキー(音声あり)映画が登場。

最初はバカにしていた業界人たちも、トーキー映画の大ヒット受けて、急遽トーキー映画の制作に取り掛かります。

 

ドンたちも例外ではありません。

しかし、ノウハウもない彼らは、最初の試写会で大失敗。

本公開まで6週間と迫った時、ドンと相棒のコズモ(ドナルド・オコナー)は、逆転の名案を思いつきます。

それは、映画をミュージカル仕立てにし、声がひどいリナの代わりに、キャシーにアテレコさせるというものでした・・・

 

『雨に唄えば』の率直なレビューや感想など(ネタバレあり!)

ここからは、観て感じだこと、思ったことを率直に書いていきます。

多少のネタバレは含みますので、まだ観ていない方はご了承ください。 

とにかく楽しい気分にさせてくれる王道映画!

一言で言うと、「とにかく愉快で楽しい気分にされてくれる王道映画!」です。

 

落ちぶれていた主人公ドンは、努力でスターの座を手にします。

相方コズモも、自身の才能を活かせる裏方として活躍。

なかなか芽が出ないヒロインのキャシーも、サイレント映画からトーキー映画へと移り変わる時代の中で、自分の活躍する場所を見つけます。

また、ドンとキャシーを邪魔する恋敵リナは、最後に失脚。

 

トーキー映画への移り変わりでピンチを迎えるものの、それを乗り越えたドンとキャシーは、その後幸せに暮らしましたとさ。

 

という、これ以上ないくらいシンプルでわかりやすい物語。

音楽も踊りも愉快で楽しいものばかりで、楽しい気分にさせてくれるハッピーエンドな映画です! 

歌と踊りが必見!古き良きアメリカを感じさせてくれる

この映画が作られたのは1952年。

映画の舞台も、サイレント映画からトーキー映画へと移り変わって行くもう少し前の時代を描いてます。

 

とにかく、「これぞまさにアメリカ!」を堪能できる映画です。

タップダンスや、軽快な音楽にノッて笑顔で演じる役者たち。

そのバックで流れる音楽も、どれもこれもアメリカンなものばかり。

映画全体から、「俺たち最高に楽しいぜー!」というオーラがにじみ出ていました。

 

また、主演2人(ジーン・ケリーとドナルド・オコナー)のダンスが本当にすごい!

特に、ドナルド・オコナーのこちらのダンスは必見です。

静かな映画館でも、笑い声が漏れていました。

 


Singin in the Rain - Make Em Laugh

 

後ろ向きに倒れてみたり、壁に激突してみたり。自然に壁を歩いたりもしてます。

ソファーで人形と戯れるのも、パントマイムのようで面白い。

芸人なみに身体張っているので、身体痛そうだなーって観てました。笑

 

ダンスを観るだけでも、一つのショーを見ている気分にさせてくれます。

サイレント映画から、トーキー映画に移り変わる時代の節目を感じられる

サイレントからトーキーへと映画の革命が起こった時代を描いた作品として、近年だと『アーティスト』が記憶に新しいかと思います。 

 

『アーティスト』では、サイレント時代のスターが、トーキーへと移り変わる時代の変化についていけず、没落する姿を描いています。

ただ、最終的にミュージカル映画によって、主人公は大復活を遂げます。

 

同じ状況が、『雨に唄えば』の中でも描かれています。

トーキー映画が登場した時、業界人は揃って「そんなのニセモノだ!」と無視していました。

しかし、大衆の大反響を見て、焦ってトーキー映画を作ることに。

 

ただ、ノウハウがないため、最初は大失敗。

そこで、公開直前に方向転換し、ミュージカル作品にすることで危機を逃れます。

似たような結末から推測するに、『アーティスト』は『雨に唄えば』を意識したのでしょうか。

 

面白かったのが、トーキー映画が生まれたことによる、ハリウッド周辺で起こる変化。

 

・みんながこぞって発声教室に通ったことで、発声教室が大儲け

・それまでは大声で話しているのが当たり前だった撮影現場も、「撮影中は静かに」という張り紙が登場して、雰囲気が一転

・声をマイクで拾う必要があるため、マイクをどこに置けばいいかで一苦労

・演技中に適当に言葉を発するのをやめて、ちゃんとした脚本を書こうという話が出てくる

 

考えてみれば当たり前ですが、時代の変化ってこうやって起こって行くんだなーとしみじみ実感していました。

良くも悪くも、王道を行く作品

この映画が発表された1952年は、第二次世界対戦に勝利し、アメリカが世界のトップに君臨していた時代。

 「陽気で、楽しくて、何の心配もない! 」

そんな言葉が聞こえてきそうな時代を象徴した作品です。

 

ただし、物語があまりにクリーンすぎて、個人的にはちょっと物足りないと感じたのも確かです。

  

実は、次の1960年代後半に入ると、新しい映画の流れが登場します。

それが、「アメリカン・ニューシネマ」という流れです。

冷戦の激化、ベトナム戦争の泥沼化、キング牧師の暗殺など、「自由と繁栄の国アメリカ」に暗い影を落とす出来事が続きます。

時を同じくして、映画における規制が緩和したのも影響し、過激な描写を用いて、反体制的な作品が作られていきます。

 

代表的なのは、下記の作品たち。

・最後のストップモーションと銃撃の音が印象的な『明日に向かって撃て』

・主人公たちが蜂の巣状態に撃たれまくる『俺たちに明日はない』

・花嫁を連れ出す名シーンが有名な『卒業』

・ニューヨークで孤独を味わうことになる『真夜中のカーボーイ』

・自由を求めて走り続ける『イージー・ライダー』

 

どれも、目に見えてわかりやすいハッピーエンドはありません。

むしろ、その時代の鬱屈した想いがスクリーンに映し出されていて、実に人間くさい。

 

『雨に唄えば』は、そういう映画が生まれる前の時代の名作。

良くも悪くも、映画の中で夢を見させてくれる作品です。

『雨に唄えば』を観ようかか迷っている人へ

とにかく「伝統的なアメリカっぽい!」作品です。

タップダンスなんか、いかにもブロードウェイを彷彿させます。

 

また、ジーン・ケリーが大雨の中で歌って踊るシーンは、映画史上に残る名場面。

「同じ雨でも、鬱陶しそうに歩いている人もいれば、気分一つで笑顔で受け止めることだってできる」

あの大雨で踊るシーンを見ながら、そんなことを考えていました。

 

ごちゃごちゃ考えずに、単純に元気が欲しい時、楽しい気分になりたい時。

そんな気分の時にはオススメの作品です!

 観終わったら、いつのまにか「雨に唄えば」を口ずさみながら、タップを踏みたくなっている自分がいるはずです。

 

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