東野圭吾さんの『プラチナデータ』を読みました!
DNA解析を用いた捜査システムによって、検挙率100%を目指す世界。
しかし、ある事件の証拠品からDNA解析をした結果、そのシステムが指し示す犯人が、自分自身だったら・・・・?
そんな、少し未来の世界を描いた物語。
主人公は二重人格者なので、自分自身も信じることができません。
最後の最後まで犯人がわからない展開に、読み始めたら止まりませんでした!
それでは、東野圭吾さんの『プラチナデータ』をご紹介します!
『プラチナデータ』の簡単なあらすじ(ネタバレなし)
DNA捜査が今より格段に発達した世界の物語。
現場に残されら証拠品から、DNA解析によって、犯人の特徴や顔のモンタージュがわかるようになります。
しかし、システム側のデータ不足で、犯人を特定できない事件が起きます。
犯人のデータは、「NF(Not Found)13」として登録されます。
これは、犯人を特定できなかった13番目のケース、という意味。
「NF13」は、自身が特定されないことを知っているかのように、次々と事件を起こしていきます。
その手は、システム開発を行なっていた蓼科兄弟までに及びます。
その後、事件の証拠品から、警視庁特殊解析研究所の神楽がDNA解析を行います。
示された顔のモンタージュは、システム解析を担当する神楽自身にそっくりのものでした。
身に覚えのない神楽は、その結果を見て逃げ出します。
「NF13」の正体は果たして誰なのか?
神楽は、本当に無実なのか?
事件の真相は、実に驚くべきところにあったのです。
『プラチナデータ』の読みどころ!(ネタバレ注意!)
本作品の読みどころを簡単にご紹介します。
物語の核心は伏せますが、多少はネタバレになってしまうので、まだ読んでいない方はご注意ください!
近未来への挑戦!変わらぬ人間の欲望が描かれている
『プラチナデータ』は、今まさに進みつつあるDNA捜査の、ちょっと未来を描いた作品です。
DNA捜査によって検挙率100%、つまり犯罪のない世界を目指しています。
しかし、そんな世界って、本当に実現可能なのでしょうか?
それを試すような出来事が、この物語の根幹です。
DNA分析で特定の人物を割り出すには、その前提として、多くの人のデータを収集する必要があります。
全ての人のデータが集まれば、理想的には犯罪のない世界は実現可能です。
しかし、ここで1つ大きな問題があります。
それは、自身のDNA情報を提供することは、すなわち、「個人情報の提供」になるということです。
我々一般人からしたら、まぁそれも仕方ないと思う人が大多数かと思います。
(マイナンバーの時と同じように)
ただし、もしあなたが権力者側にいて、情報提供を拒否できるとしたら?
あるいは、拒否できないとしても、お金で解決できるものだとしたら?
「万が一、自分、もしくは自分の身内が犯人となったら、そのデータをもみ消してくれ。その代わり、お金は払う」
そう言いませんか?
そして、システムを作る人の中にも、お金のために協力する人もいるでしょう。
完璧だったシステムにも、「人間」というエラーがあったのです。
それが、この事件の始まりです。
近未来の物語ですが、根っこは今と変わりません。
人間の本性というのは、いつの時代も変わらないものですね。
敵も味方もわからない緊迫感!
DNA解析の結果、「NF13」として示された神楽。
まさに、システム解析する自分自身です。
自身に罪の覚えのない彼は、解析結果を見て逃げます。
犯人は、本当に神楽自身なのか?
あるいは、彼は誰かにはめられたのか?
彼自身は、二重人格者です。
「リュウ」という、もう1人の自分がいます。
人格が入れ替わっている間は、記憶がありません。
その間に自身が犯行を・・?
また、「リュウ」の恋人だという、「スズラン」という不思議な少女が、途中から神楽の逃走に加わります。
彼女は一体何者で、なぜ神楽についてきてくれるのでしょうか?
神楽に対して、警察の手が迫っていると伝えてくれたのは、アメリカから研修でやってきた白鳥。
彼女は、研修という名目で来日しているが、実は何かを探ろうとしてる様子。
ただし、隠れ家を提供してくれたり、なぜか協力的。
彼女の意図は・・?
神楽が所属していた警視庁特殊解析研究所も、なんだか動きが怪しい。
なぜか、急に捜査を打ち切りにしてしまいます。
背後に何か事情があるのか・・?
自分自身さえ、信じることができない神楽。
誰が味方で、誰が敵なのか?
ラストは、あっと驚く犯人です。
ちょっと強引な伏線も、うまく回収されていく!
東野圭吾作品の特徴かもしれませんが、
「違和感を感じたことは、ほとんどの場合伏線である。
そして、一見不自然に見えるその伏線は、最後にうまく回収される」
というのがあります。
本作で言うと、たとえば「電トリ」のくだりは、最初からちょっと違和感でした。
結果的に、「電トリ」を使っていたことが犯人の命取りになってしまうのです。
「そんなものを、なんでわざわざ使うのか?!」
と思っていましたが、結果的に綺麗にまとまります。
強引に見える伏線も、 うまく回収していくのはさすがです。
ただし、「これは強引だ」って思った時点で、それが伏線とわかってしまうのは、ちょっと残念な気もしますが・・
『プラチナデータ』に一言!
本作品は、僕らの未来への挑戦状です。
DNA解析という完璧なシステムがあっても、そこには「人間」というシステムエラーが存在します。
欲望を持った人間に、100%完璧なシステムなど作れるのでしょうか。
しかし、僕らだって、だた権力側の好きにさせている訳ではない。
彼らに対抗して、戦う人もいる。
本作品は、大きく見るとその戦いの物語です。
「NF13」の正体は、一体誰かのか?
逃げ続ける神楽に待っている結末は?
そして、事件の黒幕は一体誰なのか?
ハラハラドキドキしながら、一気に読める作品です。
ぜひ、『プラチナデータ』を読んでみてください!
併せて読みたい!
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