だまん氏のブログ

元不動産屋→現・外資コンサル。人生の先生は本と映画。面白かった本や映画、仕事について、など日々思ったことを好き勝手に書いていきます。

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【ネタバレ感想】『真夏の方程式』東野圭吾/あまりにも切ない事件の真相とは?

「物語には納得だが、その後の人生が思いやられる・・・」

というレビューを読んで、気になって読んだ東野圭吾さんの『真夏の方程式』

  

ガリレオシリーズ第6弾。

今回、主人公:湯川は、小さな少年とタッグを組みます。

 

いつもは、警察から捜査の依頼があっても、「自分は関係ないから」と拒む湯川だが、今回はなぜか協力する姿勢を見せます。

それは、この事件の進み方によって、ある人物の人生が大きく変わってしまう可能性があるから・・

 

海が綺麗な、平和な街で起こった事件の真相とは?

人生が変わってしまうほどの出来事とは、一体?

 

今回のガリレオの物語は、かなり切ない結末を迎えるものでした。

 

30秒でわかる『真夏の方程式』のあらすじ

玻璃ヶ浦という港町に、海洋研究のためにやってきたガリレオこと湯川学。

湯川と同じ宿に泊まっていた人物が、ある晩、突然行方不明になります。

そして、翌日死体となって発見されます。

どうやら、堤防から落ちて、打ち所が悪くて死んでしまったようです。

 

亡くなったのは、元警視庁の塚原という人物。

しかし、彼はこの街に縁もゆかりもありません。

なぜ、彼はこの街にいたのでしょうか・・

 

地元の警察が事故で片付けようとする中、湯川を始め、遺体を引き取った警視庁は、塚原の死がただの事故死ではないことに気づきます。

 

解剖の結果、死因は別にあったことが判明。

誰かが、事故に見せかけて殺したのです。

 

犯人は、果たして誰なのか?

そして、なぜ塚原はこの街に来ていたのか?

 

事件を紐解く鍵は、遠い過去に起きた悲しい出来事にありました。

 

積極的に捜査に協力する姿勢のガリレオ 

いつもは、警察側からの協力依頼をうっとおしく思う湯川。

しかし、今回の事件では、珍しく積極的に捜査に協力します。

 

それはなぜか?

 

きっかけは、ある人物の不可解な発言を聞いたことでした。

その言葉に違和感を感じた彼は、独自に捜査を進め、決定的な事実を突き止めます。

 

それは、ある人物の人生を大きく左右しかねないことでした。

その事実に気づいた湯川は、事件が間違った方向へ進まないよう、積極的に捜査に関わっていたのです。

 

時間と空間を超えて、少しずつ繋がっていく点

事件は、玻璃ヶ浦だけにとどまりません。

殺された塚原は、東京からはるばる玻璃ヶ浦までやってきました。

それは一体、なんのために?

 

塚原が島に来てからの行動を辿っていくと、彼がかつて捕まえた犯人の家が、すぐ近くにあることが判明します。

それは、容疑者もすぐに捕まり、あっさり解決した事件でした。

 

しかし、塚原は、定年するまでその事件を追っていたそうです。

とっくの昔に解決したはずの事件にも関わらず。

塚原の中では、裏に何かが隠されていたと感じていたのでしょう。

 

●玻璃ヶ浦で、塚原殺害の真相を探る湯川。

●東京で、塚原が追っていた事件について探る草薙・内海ペア。

 

両者が力を合わせながら、時間と空間を超えて、1つ1つ隠された真相が明らかになっていきます。

 

湯川が守りたいと思っていた人物とは・・?

今回の物語の一番の特徴は、「いつもは消極的な湯川が、今回は積極的に事件解決に協力してくれる」ところです。

それは、誰かを守るための行動だったのです。

 

『真夏の方程式』は、登場人物は多くありません。

むしろ、450ページ超えの分量に対しては、かなり少ない方だと言えます。

そのため、読み進めていくうちに、湯川が守りたいと思っている人物はある程度目星がつきます。

 

伏線が多くあるにも関わらず、湯川がそうまでして守りたい明確な理由は、最後の10ページまでわかりません。

事件の解決と並行して、そこを予想しながら読むことも、この物語の大きな楽しみの一つです。 

 

その後の人生に想いを馳せる物語

読み終わって、一番の感想は「切ない!!!」でした。

ネタバレなので詳細は伏せますが、冒頭のレビューの意味がようやくわかりました。

 

この事件の結末には、明確な答えはありません。

答えは、自分たちで見つけていくしかないのです。

 

答えのない問題を突きつけられた人物に対して、湯川は「一緒に考えていこう」と伝えます。

 

その人物にとって、抱えることになった問題はあまりに重すぎます。

しかし、湯川と一緒に、きっと乗り越えていけると信じたいです。

今後の人生が、それを重荷としないことを願うばかりです。

  

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