だーまんのブログ

平成生まれ・東大卒の不動産屋。人生の先生は本と映画。面白かった本や映画、ライフハック術、不動産のこと、受験についてなど、日々思ったことを好き勝手に書いていきます。

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【批評】『ザ・シークレットマン』大統領を葬ったFBI副長官・真実の物語

アメリカ歴史上最悪の政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」

『ザ・シークレットマン(Mark Felt: The Man Who Brought Down the White House)』は、その内部告発者マーク・フェルトを描いた作品です。

 

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当時、FBIのNo.2だったマーク・フェルト。

長く正体不明だった内部告発者の正体は、2005年の彼の告白で明らかになりました。

自身の仕事人生を賭けてまで、彼に内部告発を決意させたのは何だったのでしょうか?

 

「ただ楽しく観れる作品」ではありません。

観終わった後に、色々と考えさせられる作品です。

 

実話に基づいた映画『ザ・シークレットマン』をご紹介します。

 

1分で分かる『ザ・シークレットマン』のあらすじ(ネタバレなし)

1972年、野党の民主党本部:ウォーターゲートビルに何者かが侵入し、盗聴器を仕掛けようとする事件が起きます。

元CIA工作員が関わっていたにも関わらず、「三流のコソ泥の仕業」と事件は一蹴され、当時の大統領ニクソンは事件の影響を受けることなく、圧勝で大統領再選を果たします。

 

しかし、謎の人物「ディープ・スロート」の内部告発によって、事件は急展開。

事件に大統領が関わっていたことが明らかになり、再選したニクソンは辞任へと追い込まれます。

 

内部告発者の正体が明らかになったのは、2005年。

事件当時、FBI副長官であったマーク・フェルトが、自身が告発者であることを告白したことで、明らかになりました。

本作品は、彼が内部告発を行うに至った経緯、そしてニクソン辞職までを描いています。 

 

ちなみに、マーク・フェルトが情報提供し、事件直後から報道を続けていたのはワシントン・ポスト紙です。

事件を暴いた2人の記者についての物語は、ロバート・レッドフォードとダスティン・ホフマンが出演した『大統領の陰謀』という映画で描かれています。


All The President's Men - Trailer

  

作品の見所をご紹介!(※ネタバレ含む)

ここからは、本作品の見所をご紹介します。

多少のネタバレは含みますので、まだ観ていない人はご注意ください!

ポイント1:実話に基づいた物語であること

この映画の最大のポイントは、実話であること。

 

 「事実は小説よりも奇なり」とはよくいったものです。 

・大統領が再選を果たすため、敵陣に盗聴器を仕掛けようとする

・それをもみ消しにかかる政府側

・闇に葬られるはずだった事件が、権威に対抗した内部告発によって明らかになる

こんな小説のような出来事が、実際に起こったというのが衝撃です。

 

実話なので、「映画の中の話だ」「よくできた物語だ」では済まされません。

自分の仕事人生を賭けてまで、権力側に対抗した人物がいたのです。

彼の行動に、より深く心を動かされます。 

ポイント2:告発に至る心情が描かれている 

マーク・フェルトは、「なぜ内部告発したのか」について、その真意は語っていないそうです。

それを、この映画は描いています。

 

作中で、マーク・フェルトの様々な一面が浮かび上がります。 

・FBIの長官になるべく、家庭を犠牲にし、国のために誠実に働いてきた姿

(奥さんがかなりの我慢を強いられていた様子が描かれている)

・自分の首を賭けてまで、決心して情報提供を続ける姿

・家出した娘を一生懸命探す、父親としての姿

・自身も別件の過剰な捜査で有罪判決が出ており、黒い面を持っている姿

 

アメリカの正義のために戦いながら、娘のために心を悩ませるし、時には強引な捜査で法を犯す行為も厭わない。

彼は、「ただのスーパーマン」ではないのです。

 

ただのスーパーマンではないからこそ、彼の葛藤を知ることで、観ている僕らも感情移入してしまうのです。

ポイント3:秀逸なマーク・フェルトの心情の演出

映画全体が暗く、青みがかったトーンです。

場面はいつもなんとなく曇っているし、雨の場面も多い。

リーアム・ニーソンの顔も、常に陰影がはっきりしていて重苦しいです。

 

パッと思い出す映画の印象は、「ズーン」という暗さ・重苦しさです。

それが、マーク・フェルトの苦しい内面を表しています。

 

国に対する不信感、自身の首が危なくなる危機感、うまく行かない仕事へのイライラ、家庭不和に対する不安感。

映画の印象を思い出すだけで、彼の内面が想像されます。

その演出の秀逸さも、見所の一つです。

 

『ザ・シークレットマン』に一言!

観終わった後、ただ「楽しかった!」という類の作品ではありません。

 

物語の最後、別件の捜査で訴えられた彼は、「あなたがディープ・スロートですよね?」と陪審員に聞かれ、答えようか迷う場面で終わります。

 

彼は、どのような思いで、陪審員の言葉を聞いていたのでしょうか。

 

彼の人生は、決して平穏でも、幸せでもありませんでした。

妻は精神を病んで自殺してしまいますし、彼自身も孤独に人生を終えます。

告発さえしなければ、あるいはもう少し幸せな人生を送れたのかもしれません。

  

彼は、告発を後悔していたのでしょうか。

自分が彼の立場だったら、同じ行動を取れたでしょうか。

もっと大きいところで、自分が納得する人生って何でしょうか。

 

そんなことを、嫌でも考えてしまう作品です。

ぜひ、『ザ・シークレットマン』を観てみてください! 

 

併せて読みたい!

映画『ペンタゴン・ペーパーズ』

『ザ・シークレットマン』の前日譚にあたるのが、『ペンタゴン・ペーパーズ』

『ペンタゴン・ペーパーズ』の最後は、ウォーターゲートビルに何者かが侵入する、という場面で終わります。

 

まさに、マーク・フェルトが情報提供していたワシントンポスト紙が、ペンタゴンの機密を暴くという作品です。

 

両者のつながりのためか、同時上映している名画座も多いですね。

(ちょうど本作品を観た飯田橋ギンレイホールも同時上映していました) 

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