いろんなことがうまくいかなくて、疲れすぎて眠れない夜。
そんな時に、読んでほしい1冊です。
巷に溢れる成功本。
「自分らしく、成功しよう!」
「大好きなことだけやって、生きていこう!」
「今こそ、かっこいい女性が活躍する時代!」
そんな煽り文句の中に生きていると、無意識のうちに、
「もっともっと上を目指そう!!」
と、力んでしまうのも仕方ありません。
だけど、それって本当に一番大事な生き方なのでしょうか?
この本は、
「ワンランク下の自分でも、いいんじゃない?」
「大きな成功だけでなく、目の前の小さな幸せを大事にできることも、才能である」
ということを、教えてくれます。
頑張りすぎて、追い込まれて周りが見えなくなった時に、
立ち止まるきっかけをくれる1冊です。
それでは、『疲れすぎて眠れぬ夜のために』をご紹介します!
『疲れすぎて眠れぬ夜のために』はどんな本か?
この本には、具体的にどんなことが書かれているか?
本書の「終わりに」と、「文庫本のためのあとがき」より、そのまま引用します。
この本で私が繰り返し申し上げたのは、「無理はいけないよ」「我慢しちゃダメだよ」ということです。
「あんまり自分が立てた原理原則なんかに縛られないで、その場の気分に乗って、気楽に生きましょう」
要するに、
「ちょっと肩の力を抜いて、気楽に生きましょうよ。」
ということを教えてくれます。
以下、本書の内容を、僕が響いた箇所を中心にかいつまんでご紹介します。
Ⅰ 心を澄ます
・向上心は、必ずしも持つ必要はない。
・自分の可能性は有限であると知ること。そのことによって、自分の可能性を最大限活かすことができる。
・嫌な人間関係の中で、無理に戦う必要はない。
Ⅱ 働くことに疲れたら
・「手を抜く」ことは、意外と訓練していないと難しい。
・「へらへらと質の高い仕事をする」ということができないと、プレッシャーに負けてしまう。
・女性のサクセスモデルには、上記のことを言う人がまだいない。そのため、精神的に苦しんでいる女性が多いように見受けられる。
Ⅲ 身体感覚を蘇らせる
・「個性的」だと思っていることも、95%くらいは「既製品」である。
・自分の立ち位置を正確に把握できないため、狭い世界で自分は「個性的である」と考えている。
・武道における「守破離」のように、まずは形から入ること、そしとその形の意味を考えるところが始まりである。
Ⅳ らしく生きる
・個性個性と叫ばれているが、分相応=「らしく生きる」ことが見過ごされている。
・「らしく生きる・振る舞う」ことは、不条理な世の中を生きていく上で、自身の首を絞めるリスクを最小限に減らすことに繋がる。
Ⅴ 家族を愛するとは
・一夫一婦制は破綻しかけているが、それでも一人の信頼できるパートナーと一生添い遂げる方が、生存戦略上のコスト的に有利なので、今も制度は続いている。
・社会の構成員の欲望を均質化しようとする資本主義の登場で、それまでの「らしさ」が失われていった。
この本の魅力とは?
当たり前のことを、再確認できる
別の本から引用しますが、内田樹という人の本が面白いのは、
あまりに(非)常識的であるがゆえに、これまであまり言われないできたことだけれど、そろそろ誰かが『それ、(非)常識なんですけど』とキッパリ言わねばまずいのではないか」
ー『ひとりでは生きられないのも芸のうち』内田樹 より引用
という話を、扱っているためです。
当たり前のことは、当たり前だからこそ、誰も言いません。
そして、いつのまにか、当たり前であることが忘れ去られてしまいます。
すると、世代を超えた時に、それが当たり前である感覚を持っていない世代が現れます。
彼らの世代では、その感覚がすっぽりと抜け落ちているのです。
・「疲れたら、休む」
・「自分を、許してあげる」
そんな当たり前のことでさえ、当たり前ではなくなりつつあります。
誰も言わないからこそ、「当たり前のことを、あえてキッパリと言うこと」に、大きな意味があるのです。
狭くなっていた視野を、大きく広げてくれる
僕は、悩んだり落ち込んだ時は、本を読みます。
なぜ本を読むのか?
行き詰まっているときは、視野がものすごく狭くなります。
自分がいる世界が、わずか1メートル四方の箱の中のような錯覚をします。
そんな時に、本を読むことで、自分がいかに狭い世界にいたかに気づけます。
この本の中で、
「サクセスなんて、品が悪い 」
「へらへらと質の高い仕事をする」
という言葉が、ものすごくグサッと刺さりました。
仕事で「上を上を」目指しており、ちょうど行き詰まっていた時でした。
狭い世界で、いかに頭一つ出るかしか考えていませんでした。
最初はちゃんと見えていましたが、
いつのまにか、その狭い世界での競争に勝つことが目的になっていました。
そんな時に、先ほどの2つの言葉に行き着いたことで、救われました。
この本には、そういった言葉が、たくさんたくさん詰まっています。
最後に一言!
誰も、ずっと調子が良い訳ではありません。
絶好調の時もあれば、全てがうまくいかない時もあります。
うまくいっている時は、大丈夫。
問題は、調子が悪い時。
この時に、いかに立て直す手段を持っているか。
この本は、そんな手段の1つとして、
自分を立て直すきっかけをくれます。
「なんだか調子が悪いなー」と思った時は、
立ち止まって、ゆっくりこの本を手に取ってみてください。
そこから抜け出すヒントが、たくさん見つかるはずです。
併せて読みたい!
『「やりがいのある仕事」という幻想』森博嗣
「やりがいのある仕事」って、なんだろう。
1日1時間しか働かない著者による、新しい切り口の仕事論。
『つぶやきのクリーム』森博嗣
作家・森博嗣による純玉のつぶやきたち。
ハッとさせられる言葉のオンパレードです。