だーまんのブログ

平成生まれ・東大卒の不動産屋。人生の先生は本と映画。面白かった本や映画、ライフハック術、不動産のこと、受験についてなど、日々思ったことを好き勝手に書いていきます。

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『点と線』松本清張/完璧なアリバイと巧妙なトリックが見事な60年前の名作

松本清張さん初の長編推理小説、『点と線』を読みました!

 

これは、1958年に刊行された作品です。

時刻表を使った巧妙なトリックと、あっと驚く事件の真相と。

60年前に書かれたとは思えないくらい、全く色褪せない傑作でした!

 

この記事では、

●30秒でわかる『点と線』のあらすじ

●この小説の3つの魅力!

について書いてます。

 

なお、物語の核心には触れませんが、多少のネタバレはあります。

未読の方は、ご注意ください。

  

『点と線』のあらすじを30秒で解説

博多駅近くの海岸で、男女の死体が発見されます。 

死体の近くには、青酸カリの入ったジュース缶が落ちていました。

そのことから、警察は心中自殺として片付けます。

 

しかし、遺体の所持品から、小さな違和感に気づいた1人の刑事がいました。

同時に、警視庁の方でも、この事件に疑いを持つ若い警部補がいました。

 

『これは、恋人同士の自殺に見せかけた、巧妙な殺人事件では?』

 

彼らが独自に捜査を進める中で、安田という1人の男が捜査線上にあがってきます。

 

しかし、安田には鉄壁のアリバイがあります。

博多で事件のあった時刻、彼は列車で東京から北海道に向かっていたのです。

 

果たして、彼が真犯人なのでしょうか?

そうだとすると、完璧なアリバイはどうやったら破れるのか?

 

2人の不可解な死と、破ることのできない完璧なアリバイ工作。

しかし、2人の地道な捜査が、少しずつ事件の真相を暴いていきます・・・

  

頭脳明晰な犯人による綿密なトリック

 この小説の一番の肝は、犯人の「アリバイ崩し」です。

 

情死(=恋人同士の心中自殺)だと思われた2人の死。

しかし、鳥飼という刑事の気づきにより、どうやら2人は恋人同士ではなかった可能性が浮上します。

 

男性の方は、ある汚職事件の鍵を握っていた人物で、彼の死を望む人間はたくさんいました。

一方の女性の方は、ある料亭の女中。

 

問題は、東京での2人の接点が全く見つからないことです。

2人を結ぶ唯一の線は、「東京から一緒に列車に乗った」という目撃証言だけです。

 

しかし、この目撃証言には、安田が作為的に作り上げたと思われる不審な点がいくつもあります。

 

そういった小さな疑惑から、捜査線上に浮上した安田という男。

 

しかし、彼には完璧なアリバイがあります。

事件の当時、彼は北海道に向かった電車の中にいました。

実際に、列車内で彼と会話した人物がいます。

また、函館へ向かう青函連絡船の乗船客名簿にも、彼の筆跡で名簿が書かれています。

 

彼の鉄壁のアリバイは、破れるのでしょうか。

それとも、彼はシロなのでしょうか。

 

2人の刑事が見つけた真相に、思わず「なるほど!」と声をあげてしまいました・・笑 

 

糸口を見つけ出す2人の刑事の絆

この物語のキーポイントは、事件の解決のために戦う2人の刑事です。

 

1人は、鳥飼という博多の刑事。

冴えない外見で、仕事ができるタイプには見えません。

しかし、彼の優れた洞察力とたゆみない行動力によって、 事件の最初の糸口が見つかります。

 

僕の中では、勝手に「刑事コロンボ」の姿を重ね合わせていました。

 

もう1人は、警視庁の警部補・三原です。

東京で捜査を進める中で、男女の死に疑問を持った彼は、はるばる九州までやってきます。

 

すでに「情死」として終わりかけているこの事件。

その中で、鳥飼が自分と同じ意見を持っていると知り、2人は協力して捜査を進めていきます。

 

鳥飼が博多近辺を探り、三原は東京を中心に鎌倉や北海道を駆け回ります。

お互いの知恵を交換し合うことで、事件の真相に向かっていきます。

 

誰もが「情死」と思って疑わなかった事件。

博多と東京にいる2人のおかげで、真相にたどり着くことができたのです。

 

味方がほとんどいない状況でも、真実の追及をあきらめない2人の姿に、ついつい感情移入してしまいます。

  

昭和の時代を疑似体験する

この物語は、1958年に刊行されています。

当時はネットもなければ、携帯電話もありません。

電報で連絡をし、回答を数日待つという世界です。

 

小説の醍醐味は、その世界、時代を体験できることです。

 この小説を読むことで、昭和の時代を疑似体験できるのです。

 

ネットも携帯もなく、当然グーグルアースもありません。

そのため、刑事たちは今以上に足を使います。

 

たとえば、駅と駅の間の徒歩分数を調べるために、グーグルアースは使いません。

実際に自分で歩いて測ります。

 

また、会いたい人がいれば、鎌倉だろうが、北海道だろうが、とりあえず飛んでいきます。

 

現代であれば、ネットを見たり、テレビ電話をすれば済む話。

そういったことに対して、迷わず「足を使う」感覚が、なんだか冒険をしているようで、読みながら非常にワクワクさせてくれました。

 

名作は、時代を超える

読む前は、「60年前の作品だから、少し古臭いのだろう」と、勝手に思ってました。

しかし、それはいらぬ心配でした。

 

テンポのよいストーリー展開。

応援したくなる2人の刑事の奔走。

そして、なかなか破れない巧妙なトリック。

 

シンプルなストーリーですが、飽きる暇なく、3日くらいであっという間に読んでしまいました! 

 

この作品は、2回映画化され、テレビドラマにもなっています。

やはり、名作は時代を超えるのだなーと実感しました。

 

物語の世界観を味わえることが、小説の醍醐味です。

今の自分たちとは違う時代、違う世界の話だからこそ、その世界の魅力に引き込まれていきます。

 

推理小説が好きな方、何か名作読んでみたいって方には、ぜひオススメの1冊です!

 

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