ジョン・トラボルタとオリビア・ニュートン・ジョンが共演し、大ヒットしたミュージカル映画『グリース(Grease)』を知っていますか?
舞台は、1950年代のアメリカのある高校。
ジョン・トラボルタ演じる悪ガキのダニー・ズーコと、歌姫オリビア・ニュートン・ジョン演じる優等生サンディーの、甘酸っぱい青春ラブコメディー。
この前年に『サタデー・ナイト・フィーバー』で大ヒットを記録した、全盛期のトラボルタと、大スターになる途上のオリビア・ニュートン・ジョンが共演します。
踊りだしたくなる音楽とともに、バブル真っ只中の1950年代アメリカの高校生活を疑似体験できる作品です。
それでは、『グリース(Grease)』をご紹介します!
『グリース』の簡単なあらすじ(ネタバレなし!)
舞台は1958年のアメリカ。
その夏、ダニー・ズーコ(ジョン・トラボルタ)とサンディー・オルソン(オリビア・ニュートン・ジョン)はビーチで出会い、恋に落ちます。
しかし、サンディーは親の事情でオーストラリアに戻らなくてはならず、2人は離れ離れになります。
夏休みが明けて高校に行くと、ズーコたちの学校になんとサンディーが転校生として来ており、2人は奇跡の再会を果たします。
しかし、ズーコは「T・バード」というワル集団のリーダー。
仲間たちの手前、カッコつけてしまい、再会したサンディーをむげに扱います。
怒ったサンディーは、ズーコと仲違い。
サンディーは、たまたま仲良くなった女の子に誘われて、女子のワル集団「ピンク・レディーズ」たちと一緒に遊ぶようになります。
お互いを嫌うように振る舞いながらも、本当は相手のことが気になっているズーコとサンディー。
果たして、2人の恋の行方は?
高校時代の、甘酸っぱい青春を思い出させてくれるラブ・コメディー作品です。
映画こぼれ話(ネタバレなし)
ここで、ネタバレなしでこの映画のこぼれ話をいくつかご紹介します!
同名のミュージカル作品が元!
1971年に同名の舞台があり、それが原作になっています。
オリビア・ニュートン・ジョンとの共演は、トラボルタの要望だった
トラボルタは、本作品プロデューサー:ロバート・スティグウッドと、前作『サタデー・ナイト・フィーバー』で一緒に仕事をしていました。
それもあってか、本作における監督:ランダル・クレイザーやヒロイン:オリビア・ニュートン・ジョンの抜擢は、彼の要望だったそうです。
オリビア・ニュートン・ジョンは、それまでただのカントリー歌手でしかなかったそうですが、この作品の楽曲がヒットし、それをきっかけとして一気にスターとしての階段を歩むこととなります。
サンディーのキャラ設定は、オリビア・ニュートン・ジョンの方言のせい?
オリビア・ニュートン・ジョンはオーストラリアでの生活が長く、オーストラリアのアクセントがなかなか抜けなかったそうです。
そのため、「サンディはオーストラリア出身」という設定が加えられたとのこと。
主演のジョン・トラボルタは、このあと不遇の時代に・・・
『サタデーナイトフィーバー(1977年)』と本作品のヒットで、一躍スターにのし上がったジョン・トラボルタ。
しかし、これ以後はヒット作に恵まれず、不遇の時代を過ごします。
再び脚光をあびるのは、彼の大ファンだったタランティーノが監督する『パルプ・フィクション(1994年)』に抜擢されてからでした。
タイトル『グリース』の意味とは?
そのままの意味は、頭髪を固めるためのスタイリング剤。
そこから派生して、アメリカでは1950年代に「Greaser」というファッションが流行ったそうです。
頭髪を固め、少しロールアップした細身のジーンズ、コンバースのスニーカー、白か黒ピタッとしたTシャツ、黒のライダースかジージャンという格好。
まさに、ダニー・ズーコたちの格好そのままですね。
映画のタイトルは、そういうファッションや時代を含んだ意味なのでしょう。
公開当時、アメリカではかなりのヒットを記録!
公開された1978年、その年のベスト作品の1つに選ばれました。
サウンドトラックは、1978年のアルバム売上第2位に!
サウンドトラックも、もちろん大ヒット。
しかし、その年の1位はトラボルタが前年に主演した『サタデーナイトフィーバー』のサントラだったそうです。
ミュージカル映画としては、歴代4番目の売上!
公開当時は、『サウンド・オブ・ミュージック』を抜いて、ミュージカル映画として歴代1位の売上を記録しました。
その後、『レ・ミゼラブル』『マンマ・ミーア!』『美女と野獣』に抜かれますが、今でも歴代4位の売上を誇っています。
1982年に続編『グリース2』が作られた!
『グリース』の大ヒットを受けて、1982年に続編『グリース2』が作られます。
『グリース』に出演した俳優も何人かは再演したそうですが、予算1300万ドルに対してたったの1500万ドルしか売り上げず、興行的には失敗に終わります。
続編あるあるですね。
率直な感想やレビュー(ネタバレあり!)
ここからは、映画を観て率直に思ったことを書いていきます。
多少のネタバレは含みますので、まだ観ていない人はご注意ください!
1950年代のアメリカの高校生活を疑似体験できる!
この映画の醍醐味はなんといっても、1950年代アメリカの高校生たちの空気感を味わえることです。
1950年代というと、アメリカは第二次世界大戦に勝利し、ソ連と対立しながらも世界的に強国として繁栄していた時代。
物質的にもどんどん豊かになっていきます。
物語の舞台は高校ですが、彼らは平気でタバコを吸うし、お酒も飲みます。
先生たちも、それを注意する様子はありません。
また、ちょっとバイトすれば車を買えます(さすがにボロいのですが)。
車でファーストフード屋に集まってたむろしたり、高校では恒例ダンス・パーティーがあったり。
もう、誰も勉強どころではありません。
みんな浮かれまくってます。
ミュージカルの音楽が、そのバブル感をまた助長していますね。
1960年代の高校生を描いた、ジョージ・ルーカス監督の『アメリカン・グラフィティ』にも通じるものがありますね。
この頃の、どこまでもバブリーな高校生活を疑似体験させてくれます!
甘酸っぱい青春を思い出させてくれる!
物語の中心は、悪ガキ:ダニー・ズーコと、優等生サンディーの甘酸っぱい恋物語。
素直に気持ちを伝えればいいものを、わざと嫉妬させてみたり、かっこつけてみたり。
大人になってしまった僕からすると、本当に恥ずかしくなる場面もしばしば。
だけど、誰しも同じ気持ちは経験したことありますよね?
高校時代の恋愛って、どうしてあんなに不器用で、甘酸っぱくて、胸がキュンキュンしていたのでしょうか・・・
2人の恋の行方を見守りながら、懐かしい青春時代にタイムスリップさせてくれます。
また、物語のフィナーレも感動的です。
優等生と、悪ガキ。
なかなかその殻を破れませんでしたが、子供っぽいプライドは捨てて、自分の気持ちに素直になることを選んだ2人。
高校の卒業と、自分の幼さからの卒業が重なりますね。
卒業の日に、変化した2人が再開するシーンは、思わず涙でした・・!
ミュージカル映画としてのクオリティが高い!
何より、音楽が抜群に良い!
サントラが大ヒットするのも納得です。
この時代の、古き良きアメリカのロックンロール。
全く高校生に見えませんが、歌って踊る全盛期のジョン・トラボルタ。
そして、オリビア・ニュートン・ジョンが歌うバラード曲の数々。
それだけでも、この映画は観る価値ありですね。
個人的には、最初のオープニングがアニメーションになっていて、そこにポップな音楽が合わさるのですが、その時点ですでにこの世界観に引き込まれてしまいました。
物語の筋書きはシンプルすぎるかもしれない
ただし、良くも悪くも、物語の筋はものすごくシンプル。
一夏の恋だと思っていた2人が、たまたま同じ高校で運命的な再会。
最初はすれ違うが、結果的には仲直りしてハッピーエンド、めでたしめでたし。
そんな、言ってしまえばありふれた男女の恋物語です。
大どんでん返し系のサスペンス映画が好きな僕としては、物語の筋書きにちょっと物足りなさは感じてしまいました。
『グリース』に一言!
「この頃のアメリカ音楽っていいよね!」という人なら、それだけで楽しめる作品です。
キャッチーな音楽が、1950年代のアメリカの世界へ連れていってくれます。
全盛期のトラボルタの存在感が圧倒的ですし、大スターになりそうなオーラを感じさせるオリビア・ニュートン・ジョンの歌声も素敵です。
何より、音楽と踊りで楽しい気分にさせてくれます!
自分自身の高校生活はかなり真っ当だったので、「こういう高校生活を送っていたら、どんな人生になっていたんだろう?」なんて、空想もしたくなります。
ぜひ一度、映画『グリース』観てみてください!
アマゾンプライム会員であれば、199円で視聴できます。
また、U-NEXTからも視聴できます。
『グリース』が好き人にはこちらもオススメ!
『雨に唄えば(1952年)』
言わずと知れた、ミュージカル映画の古典的名作。
午前十時の映画祭で初めて観ました!
サイレントからトーキーへと映画が移り変わる時代を描いており、意外と深い背景もあって、興味深い作品でした。
『ストリート・オブ・ファイヤー(1984年)』
ロックンロールと西部劇が融合した物語。
オープニングとエンディングのライブシーンは圧巻です!
『メリー・ポピンズ(1964年)』
ディズニー制作のミュージカル映画。
子供向けと思いきや、実は大切なものを見失ってしまった大人へ向けた、深いメッセージが隠れている作品です。
あと、記事にはしてませんが、この時代が好きな人にはジョージ・ルーカス監督の『アメリカン・グラフィティ』もかなりオススメです!!