湊かなえさんの『境遇』を読みました!
初めて、湊かなえさんの作品で泣きました。
湊かなえ作品を読んだことがある人も、ない人も、ぜひ手にとってみてください!
ハラハラドキドキの前半部分と、全てが明らかになる感動のラストと、読み始めたら止まらない作品です。
『境遇』のあらすじを15秒で解説
『あおぞらリボン』という絵本が、まさかのベストセラーとなった高倉陽子。
彼女の息子が、ある日突然誘拐されます。
犯人からは、
カエシテホシケレバ シンジツヲ コウヒョウシロ
(返してほしければ、真実を公表しろ)
との脅迫ファックスが・・・
親友であり、記者である相田晴美と協力し、犯人探しに翻弄する陽子。
彼女たちは、2人とも「実の親を知らない」という似た境遇の持ち主。
「真実」とは、果たして何なのか?
そして、犯人の狙いは一体?
最後に明かされる驚愕の事実に、思わず涙してしまいます。
謎解きその1:誘拐犯は誰なのか?
この物語のメインテーマの一つは、誘拐犯探しです。
最後に息子を見かけた証言者によると、息子は連れ去った人物と親しげにしていたと言います。
すると、誰か身内の犯行なのか・・・
議員の妻であること、本当の親を知らないこと、ベストセラー作家であること。
彼女を取り巻く環境は、疑わしい人物がたくさんいます。
●絵本がヒットしてから、謎の女性が陽子の周囲をうろつき始める。彼女の正体は?
● 絵本の元ネタは、親友である晴美の話。陽子に盗作された恨みか?
●自分を捨てた親による、金銭目当ての誘拐か?
●夫・正紀は、地元では有名な二世議員だが、不正献金の疑いがある。彼に敵対する人間の仕業か?
●正紀には、結婚予定者がいた。そのポジションを奪った陽子への恨みか?
身内さえも疑わしい中で、事件解決の糸口は、陽子と晴美の生まれの秘密にありました。
謎解きその2:2人の境遇と、生まれの秘密とは?
再びきた犯人からの脅迫状には、
ハヤクジジツヲコウヒョウデキルヨウ ヒントヲダソウ
(早く事実を公表できるよう ヒントを出そう)
そして、
樅(もみ)の木町殺人事件
との文字が。
この事件は、
●心臓病で苦しむ妻の手術費のため、お金を貸してもらおうとしたが断られた犯人が、相手を刺し殺してしまう
●殺された男の妻も、ノイローゼでその後亡くなってしまう
●心臓病の犯人の奥さんは、結果的に手術が成功して生き残る
●ノイローゼで亡くなった妻にも、犯人の妻にも子供がいた
という事件です。
そして、この事件は陽子と晴美が生まれたちょうど36年前に起きています。
陽子は、生き残った妻の子供なのでしょうか?
それとも・・・
最後に、事件の謎とともに明かされる出生の秘密に、カフェで読みながら思わず涙を流してしまいました。
『境遇』が面白い!ワケ
僕は、初めて湊かなえさんの作品で泣きました。
「湊かなえさんといえばコレ!」という、ど真ん中の作品ではないです。
その分、賛否両論かもしれませんが、僕はそこに作家としての広がりを感じた作品でした。
予想していた結末ではなかったからこそ、最後の結末も不意打ちでした。
ぜひ、この本で湊かなえさん作品の新しい一面を体験してみてください。
また、絵本『あおぞらリボン』が本の最後についているバージョンもあります。
そちらも合わせて読んでいただくと、より深くこの物語を味わえるのでおすすめです。
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